眠れない物語のペイジ

私立恵比寿中学の諸々を徒然なるままにつづるブログ

リアル頑張ってる途中neo、音声で買うか?映像で買うか?

 

 

「リアル頑張ってる途中neo」が音声コンテンツだけでなく、映像コンテンツもリリースするというニューノーマルな試みを打ち出して、3度目の放送が終わった。さて、どうでしょう。皆さんはどのような購入プランをたてましたか?

 

(参考までに)

 

僕個人の話で言えば、今のところ「音声」をメインに購入して、「映像」も投げ銭と答え合わせの気持ちで購入している。

 

音声版

・フル尺

・早めに聞ける

・音だけ

 

映像版

・短縮尺

・音声版から数日間が空く

・映像あり

 

その特徴を並べてみても、やはり音声版の方がなんとなくメリットが大きくなるように設定されている気がする。(いずれも第2回以降のもの)。メインは音声版で、映像版はあくまでおまけという感じだろうか。

 

そもそもやはりラジオは「音だけ」の文化だから、当たり前と言えば当たり前だ。例えばこの間の真山と美怜ちゃんの放送回、「肘掻くな急に」という真山の声を聴いて、美怜ちゃんがボケーっと肘を掻いている様子を勝手に想像して、なんだかおかしくて笑っちゃう。どんな体勢で、どのくらい気が抜けていただろうか。その想像の余地があって、それを個人的な幅で楽しむことができるのがラジオの面白さだと思う。耳から入る言葉が線描で、その中に塗っていく色は各々の自由みたいな、そんな感じ。

 

逆に例えばもしそこに映像しかなくて「肘を掻く美怜ちゃん」の正解が一つに定まるしかなかったら、やっぱりそれはそれで確かに面白いんだけど、各々の想像だけがくれた個人的な面白さは失くなってしまう気がする。「多数の個人」に向けているラジオが提供してくれる、各々の頭の中だけでちょっとずつ個人的に面白くできるその想像の幅が僕は大好きだ。

 

なんだか映像を否定しているような文になってきている気もする…。いやそんなことは当然なくて、映像は映像で面白くて強い。ただやっぱり強いから、映像で答えを見る前に、自分の答えを音声だけで想像する面白さ、その可能性を大切にしたいなということだ。リンゴは赤いと知る前に、黄色く塗れる可能性もあったんじゃないかと。

 

だから僕は音声と映像の両方を買うこと、そして音声→映像の順で楽しむことをオススメしたい。あくまで個人的に、だけれども。

 

しかし、その「答え合わせ」だけのために音声よりも高いお金を出して改めて映像を買うメリットが正直小さい気もしなくない。実際、例えば「私立恵比寿中学放送部」では歌声喫茶の映像を毎週無料で見ることができるし(それはあくまでたった数分ではあるが)、じゃあ答え合わせ以外の部分を「投げ銭」なんて割りきれない人もいるだろう。

 

だから最後に、答え合わせ以外で「映像版を買うこと」の僕が考えるメリットについて書いておきたい。

 

それは「裏側の『プロ』を感じられること」である。実は、僕はこれが大好きだ。

 

以前「Creepy Nutsオールナイトニッポン0」放送中のブースの外に突然フリーアナウンサーの宇垣美里が来たことがあった。その時、足早に帰ろうとする宇垣さんをR指定が「ちょっとラッパーなんで宇垣美里で韻踏んで歌にしたろかなって」と急に呼び止めて、どんな韻を繰り出すかと思ったら「宇垣美里」と「歌にしたろ」でもう既に韻を踏んでいて、ブースの中は大いに沸いたのである。

 

この出来事を字で読んで、どう思っただろうか。「R指定すごすぎ!」なんて思うだろう。音声だけで聞いていてもきっとそうだ。

しかし、映像で見ていた僕は、作家の福田さんが流れの中でカンペをさっと書いてR指定に韻を踏むことを指示→それにR指定が一瞬で応えて即興で韻を踏んだという裏の事実を確認することができた。すごすぎる。作家さんはただ笑っているだけだと思っていたら、その場の流れを支配していたのである。そうした阿吽の連携の様子や裏のスピード感というのは、決して音だけでは知ることができなかったものだ。映像を通して、初めて伝わった「裏」である。

 

また、「星野源オールナイトニッポン」が何度か行っているYouTube配信もよく見るが、CM中にゲストが呼び込まれ談笑する様子や、作家が笑いながらさっとメールを選別して渡しに行く様子など、いくつもの『プロ』の現場を覗くことができる。

 

こうした「ラジオ現場の映像化」は近年では多く、このような裏の様子を知りたいという潜在的な需要に応えているのではないかと僕は考えている。

 

「リアル頑張ってる途中neo」でも、シングル中の挨拶、カンペをさっと読む姿、メンバーの目配せだけで伝わる呼吸など、裏のプロの様子を感じられるシーンがたくさんある。エンタメがいくつもの連携や実力で成り立っていることを知るのも、それはそれで楽しいことであると僕は思う。

 

さて、音声の面白さ、映像の面白さについて書いてきた。それはやっぱりそれぞれに特有のもので、どちらか一方で補完出来るようなものではない気がする。だから一度で二度美味しい放送を提供してくれる「リアル頑張ってる途中neo」のニューノーマルさには、特別な嬉しさがあるのである。今は少し映像の需要が弱いが(あくまでアンケートを見ると、であるが)、この記事を読んで一度でも軽率に買ってみたら面白いかもしれない。うまい棒を21本我慢して、ぜひ買ってみて欲しい。

 

まぁそんなこと言わずとも「ゲームのコーナー」が始まったら映像に対する需要も自然に増えますね、きっと。

ずっとファンでいること

 

 

何年、何十年もの間、同じ人やもののファンであり続けることがなかなかできない。

 

そのことに最もらしい理由をつけるならそれは「人やものは同じであり続けないから」だと思う。

 

人やものは当然変わる。ミュージシャンがタッグを組むプロデューサーを変えたり、テレビに出ない意志を明確に示していたはずの人が今やメディアに引っ張りだこになっていたり、メンバーの脱退、テコ入れ、などなど。

 

名前や姿は同じでも、目指す方向や心境は少しずつ、でも確かに変わっていくものだろう。年月をかけて積み重なったその少しの変化は振り返ればきっと随分な変化で、そこにある人やものはもう全然昔のままではない。

 

また、自分にだって変化がある。生活環境、価値観、生きていくコミュニティ。忙しくなったり、家族が増えたりするうちに、失ったり、手にしたりするものはたくさんある。

 

そんな双方の変化が当たり前にあるのだから、また当たり前のように「好きなものの方向が変わる瞬間」「好きなものに触れなくなる時期」がある。僕はその瞬間を前に、大抵好きを簡単にやめてしまうのである。ずっと、それを自然にやってきた。

 

変化なんて包み込めるくらい強固な「好き」があればな、なんて思う。

 

習っていた野球を辞めたから行く前に見ていた仮面ライダーを見なくなり、劇場版名探偵コナンの監督が変わり作風が明確に変わってあっさり観るのをやめて、脚本を外注しなくなった細田守作品からすぐに離れた。だって、変わったんだもの。

 

しかし、一度始まった「好き」は意外と厄介で、いつか必ず帰ってくるのである。やりたいことが変わってもその人の根本や欠片にまた愛すべきものを見つけてしまうし、暮らしの変化に伴って離れていても、ふと時間が空いて触れたら最期、また虜にならざるを得ない。「好き」ってそういうものだ。

 

そうして戻ってきてふと見ると、そこには自分が簡単に手放してしまった空白の時間がある。もう一度好きになった時、ずっと好きで居続けた人と同じ熱量で語れないことがわかって、すごく寂しくなる。オードリーのオールナイトニッポンから離れた2014~16年のことがあって、やっぱり武道館は寂しかった。

 

 

きっと誰にだってこんな風に「変化」に伴って自然と「離れ」をむかえようとする時期があるのだろう。もちろん、明確な「嫌い」に転じてしまったらそこでお別れする以外にないけれど、でもそれがまだ「ちょっとした手間」くらいなら簡単に離れてしまわない方がきっといい。後ですごく寂しくなるから。一度でもファンになったのだから。また帰ってきた時のために。

 

 

そして、そうやって応援し続けた先のご褒美みたいな時間の中で、その「ちょっとした手間」を頑張って応援していたことは誇りになって帰ってくる。「あの時は色々あったね」なんて10年や20年を振り返っている人のことを見ると、とんでもなく羨ましくなる。

 

そんな強固な出会いが僕にとって私立恵比寿中学の皆さんだったらいいな。

「23」と私立恵比寿中学

 

 

【「23」という数字 】

 

今年で23回目のサマーナイト

もう今夜の素肌は冷めない まだまだ帰れない

 

真山さんの艶やかな歌声から始まる「23回目のサマーナイト」は、23回目の夏を迎える女性を主人公としたポップでキュートな恋愛ソングである。聴けばすぐに、児玉雨子さんが描く耳心地の良いリリックとポップな曲調に心が躍り、一方で「エビ中」と「大人の(または大人になろうとしている)恋愛を歌うこと」の間にあるメルヘンがもう随分儚くなったことに気づいて無性にドキドキしてしまう。夏のにおいがすぐそこに薫る名曲である。(圧倒的ファン目線)

 

拙い楽曲評は早々にやめて本題に入ろう。

 

さて、この「23回目のサマーナイト」を聴いたとき、エビ中ファミリーならとある楽曲との不思議な縁を感じるのではないだろうか。この楽曲と同じく「ファミえん」のために制作され、そして同じく「大人と恋愛」を描く、高橋久美子作詞の楽曲「朝顔」である。

 

 

23歳になったら結婚しよう(なんて)

小6の夏休み 約束してたこと 急に思い出したんだ

 

 

恋愛と23歳、結婚と23歳。そう、この2つの楽曲には「恋をする節目」として「23歳」という年齢が登場するのである。「23」は恋愛を実らせる数字だと両曲もとい両作詞家がそっと示している。しかしこれは、例えば「大人=20歳」というように社会一般に広く流布している価値観であったり、「結婚=16歳」のように法律によって決定づけられるものであったり、そういった数字とはなんだか様相が異なる。決定された繋がりではなく、高橋久美子児玉雨子両氏が紡ぐ繊細な感覚が重なった偶然の産物であるのだ。そして、今回私が行うのはこの「偶然」の検証、そしてそれを限りなく必然に近づけるための過度な考察である。(しかしまた考察とはいつだって過度である)

 

「23」と恋愛、「23」とアイドル、「23」と私立恵比寿中学。その関係とはなんだろう。

 

【「23」=「大人の象徴」】

 

さて、まずは「私立恵比寿中学」とも「アイドル」とも、また「恋愛」とも切り離して、一般的に「23歳」という年齢が表すものについて考える。

 

パッと思いつくのはこの年齢が「社会人2年目」を表すということである。大学まで通って4年で卒業した場合、人は22歳で社会に出て、23歳はいわゆる社会人2年目ということになる。右も左も分からない1年が終わり、社会の中での自分の立ち位置と責任の大きさをぼんやりと、しかし改めて実感する歳。精神的に考えて、22歳が「子供から大人」へ移行する歳だとすれば、23歳は完全な「大人」の歳と言えるのではないか。もちろん、社会に出た時点、つまり22歳を大人と設定してしまう方がスッキリするという考え方もある。むしろそちらの方が自然なのかもしれない。

 

 

しかし、ここで試しに2つの楽曲の歌詞を引用したい。

 

「23歳」/吉澤嘉代子

 

ここからはもう 大人の世界
言い訳きかない 大人の世界

見上げてみれば 化け物だらけ
ほんとうの敵は わたしの中に

 
ステージからあなたを見つけたときに
迷いのないわたしで在りたいから 心だけはここに

ちゃんと食べなきゃ ちゃんと寝なくちゃ
心配性のあなた お母さんみたい
写真を見たら 帰りたくなって
だけど 帰る場所はもうないの
23歳の夜

 

 

「23才」/永井真理子

 

10才の頃小さな私は 解けない悩みがあると
悔しくて泣きながら眠った そんな夜もあったもの


学校からの帰りの道で すれ違う学生たち
白いソックスと革の靴が なんだか大人に見えて不思議だったよ


17才の頃も今では なつかしい思い出なの
あんなに大人に見えた歳も 自分じゃそうは思えない
人を受け入れてくってことと 受け入れてもらうことが
うまくかみあわないままなぜか 胸だけが熱くなった


今どこへ 今は自分で 今は何を探せばいいのか
さっぱりわからない 悩みさえもからっぽ
きっと心が きっとひとりじゃ きっと栄養失調なんだ
ひどくもどかしいよ
誰かと出会いたい 苦しい出会いでもいいよ

 

 

いずれも一部抜粋であるが、これら2曲が提示するのは23歳という年齢になって感じる大人の覚悟や苦しさ、やはり「23歳=大人」という方程式である。「まだ学生だから」とか「まだ1年目だから」とか、そんな言い訳が通用しなくなる、いよいよ逃げられない大人の年齢。大人にならなきゃいけない歳。これらの楽曲の歌詞を見ると、それが23歳だと言って差し支えなさそうだ。

 

 

【「23歳の恋愛」=「大人の恋愛」=? 】

 

 

さて、ではそれを踏まえて「恋愛」における「23歳」の意味を考えていく。

 

 

私は先ほど『「23」は恋愛を実らせる数字だ』と書いたが、「23回目のサマーナイト」そして「朝顔」の歌詞を踏まえ、少し修正を加えたい。

 

「23回目のサマーナイト」/私立恵比寿中学

 

今年で23回目のサマーナイト
もう今夜の素肌は冷めない まだまだ帰れない
With you ?トウキョウ・サマーナイト
君が次は勇気出して!

 

もぉ…このあと、どうすんの?

 

いつからだったのかな このごろちょっと(ちょっと?!)
いい感じ やりとり 自惚れでしょうか? 
偶然あってる好み 偶然空いてるこの土曜日
妙に意識しちゃうよね 
ドラマみたいなデート ジオラマみたいなペイロード
いい感じな夜風 大人気の店
偶然恋人がいない 偶然空に咲いた花火
ロマンチックフルコース
でもねどうでもいい 欲しいのは これじゃない

 

今年で23回目のサマーナイト 
もう今夜の素肌は冷めない まだまだ帰れない
With you トウキョウ・サマーナイト
君が次は勇気出して
全然進まないテールライト
今夜は大渋滞 これじゃあ帰れない
っていう言い訳したら 君はどんな顔するんだろう

 

「まだまだ帰れない」

「君が次は勇気出して」

「もぉ…このあと、どうすんの?」

「でもねどうでもいい 欲しいのはこれじゃない」

 

これらの歌詞から分かるように、この楽曲の主人公が求めているのは、恋愛における具体的かつ今後の進展に繋がる結果である。ロマンチックなムード、プラトニックな関係、そんなものがあっても、それが次に繋がらなきゃ意味がない。手を繋ぐ、キスをする、etc…。もう楽しいだけの子供の恋愛なんてどうでもいいと言わんばかりである。

 

この精神を説明するうえで、先ほどの「23歳=大人」論が活きてくる。23歳は逃げられない大人になる年齢である。そして、こと恋愛における「大人になる」とは「結婚すること(これは少し暴論かもしれないが)」またはそれを意識し、それに向かって具体的な関係が進展することではないか。「23回目」の夏に妙に慌てて結果を求めるのは、「もう子供じゃいられない」という、大人の世界に踏み出したことからくる気持ちの表れなのではないかと考える。「23」は「恋愛に具体的な結果が必要になる歳」なのかもしれない。

 


朝顔」/私立恵比寿中学

アパートのベランダ、深夜に朝顔が咲いてます。

ねえ、太陽じゃないんだよ、これは蛍光灯の光だよ。

だまされてるとも気づかないで

それでも、綺麗に綺麗に綺麗に、 咲いてくれて ありがとう。

 

今朝の夢の中に 少年が出てきたの

「23歳になったら結婚しよう」(なんて)

小6の夏休み 約束してたこと

急に思い出したんだ

 

毎年行った 夏祭りのくじ引き

ぐるぐる回しても 金色は一度もでない残念賞)

 

今宵も朝顔 元気に ベランダで笑ってんだ

私の痛みを吸って咲いたような

約束を破ります 私 まだまだ咲くね

太陽はいつも 心の中にあるから

 

そして「朝顔」における「23」とは、まだ子供である男女がぼんやり描いた「結婚という夢」を叶える歳である。小6にしては「23で結婚!」って具体的なビジョンだなぁとは思うものの、この子供たちが心に抱くのはやはり「大人になること」なのである。

 

そんな幼少期の夢想を「23歳」を過ぎて金色が一度も出ない私は「約束を破ります」と言って諦めざるを得ない。大人の世界の入り口に立つと同時にいきなり結婚なんて順風満帆にはいかないけれど、「まだまだ咲くね」と決意を新たにする。子供の夢と大人の現実をリアルに、しかしながら肯定的に描いているように感じられる歌詞だ。

 

 

さて、ここまで「23歳」=「大人」であり、「23歳の恋愛」=「大人の恋愛」=「具体的な結果が必要な恋愛」であるという流れを見てきた。

 

ではなぜ私立恵比寿中学が「大人の恋愛」を歌うのか、そのことについて考えたい。

 

 

【「大人」と「子供」】

 

 

「大人の恋愛」と書いたが、それもまた少しだけ違う気がする。「23回目のサマーナイト」で描かれるのは「子供から大人になりたがっている恋愛」、「朝顔」で描かれるのは「子供の頃に夢見たものと大人になった恋や生活の対比」、いずれも共通するのは「子供から大人へ」という変化の様子である。

 

そして「私立恵比寿中学」というグループは文字通り中学生であり、もうすぐメンバー全員が20歳以上となる大人のグループでもある。子供であり、大人である、そんな不思議な立ち位置が、これらの楽曲が描きたい変化を輝かせるのではないか。

 

ここ2,3年で「曇天」「愛のレンタル」「SHAKE!SHAKE!」など、「子供」と「大人」の共存、アイドルという職業が与える不思議なモラトリアムを活かした楽曲が増えた。彼女たちがメルヘンの「中学生」をそのままに、現実として立派な大人になったからこそ恋愛ソングにおいて「23」という数字が綴られたのではないかと考える。

 

「23回目のサマーナイト」の歌い出しは、23回目の夏をまさに迎えた真山から23回目の夏を間近に控えた美怜ちゃんに繋がる。アイドルが歌う恋愛ソングはいつだってファンタジーであるはずなのに、なんだか現実がとても近い。今の私立恵比寿中学だからこそ歌える楽曲であり、だからこそ感じるドキドキなのである。

 

【2つの曲を繋ぐもの】

 

最後に、これら2つの「23」の因果を「限りなく必然に近づける」考察をする。

 

そもそも、エビ中は子供と大人の共存であり、だからこそ「子供から大人へ」の曲を歌うことができ、それが「恋愛ソング」においては「23」という数字に繋がるということを、児玉雨子高橋久美子両者が同様に感じた可能性について、どこまで信じていいのだろうか。

 

そんなたまたま「23」という数字が被るだろうか。恐らく児玉さんはファミえん2020の楽曲を作るにあたって、ファミえん2019の楽曲は聴いたはずだろうし、同じ恋愛ソングならば意識するのは当然だろう。

 

ならば「偶然」でもなんでもないのではないか。もし、意図的な遊び心をもったアンサーソングだとしたら。「夏祭りのくじ引き」で「金色」を目の前に、もうすぐ幸せを手にしようとしている世界線だとしたら。つい、そんなことを考えてしまう。

 

偶然「23」が重なったのではないかという繊細な期待のもとに行ってきた諸々の考察と、半ばデウスエクスマキナの如くそれを台無しにする、分かっていてオマージュしたという「必然」の可能性。どちらが正しいかは作家のみぞ知る世界である。知れるとしても、野暮なのでやめておこう。

 

雑記

「我慢」とその落としどころについて考えます。

 

例えば「コロナ禍だから」という理由でライブ参加を諦める人、「自分よりも推している人がいるから」という理由で生誕ライブを諦める人、このように配慮して「我慢」を選んだ人がいて、一方で普通にライブが行われている、色んなオタクが推し関係なく来ているっていう事実があります。

 

まず、絶対的な前提として、前者はめちゃめちゃに偉いです。どんなライブだって隙あらば行きたいし、会って得られる活力の大きさは一回体験したら忘れられないし、「最推し」と「他メンバー」の比率だって、決して「100:0」じゃなくて「120:100」だってことはオタクなら誰だってわかることです。でも生活や他者との関係のなかで、考えて、なくなく我慢を選んだという決断は、もうとんでもなく偉い。

 

でももう一つ。だからといって、後者ももちろん何も悪くない。大きく配慮にかけた行為(集まって飲み会するとかわざわざ他メンバーのグッズを付けてくるとか)は絶対にダメですが、ライブが開催されると決まった以上権利は平等に目の前にあって、そのキャパが埋まるのが運営のため。前者がいるから後者がうしろめたくなったり、まして責めたり責められたりするのもなんだか違う気がします。

 

もし僕が前者だったら、自分が決めた大きな決断が直接影響を与えないこと、未然防止が杞憂に終わる可能性、結局席は埋まることにやっぱりモヤモヤするだろうし、もう我慢なんてしなくていいんじゃないか、なんて思うだろうと感じます。

 

もし僕が後者だったら、行かないという人がいる以上「行く」という選択をした漠然としたうしろめたさと、でも一期一会のライブがどうしても見たいという気持ちと、きっとぐるぐるします。

 

それぞれの気持ちがあって、それぞれの事情があって、だから一概にどうとは言えませんが、とりあえず前者を選んだ人のとてつもない偉さを偉いとちゃんと伝えることが大事なのではないかと漠然と思いました。偉いです!

霜降り明星架空漫才「私立恵比寿中学」

 

 

粗品「どーも!霜降り明星です」

せいや「お願いしますー。あの、最近僕ね、私立恵比寿中学見に行くのにハマってるんですよ」

粗品「あーエビ中ね」

せいや「登校日はほとんど行きますね」

粗品「あらだいぶハマってますね。学芸会?」

せいや「学芸会?…まぁ文化祭のことかな?」

粗品「文化祭?」

せいや「文化祭、音楽祭、運動会どれも行きましたけど」

粗品「ありましたっけ?」

せいや「やっぱり醍醐味は授業日ね」

粗品「ガチ中学校!!おい誰がホンマの私立恵比寿中学見に行っとんねん」

せいや「特にプールの授業が…」

粗品「ちゃうよ。普通アイドルの方やろ」

せいや「あっアイドルの方ね。やっぱりエビ中といったらライブですよね。うわー物販何買おうかなー」

粗品「あー悩むんですよね」

せいや「えーペンライト1つと、あと帽子3つ」

粗品「3つ?友達の分ですかねぇ」

せいや「すいません、Tシャツって首3つに分かれてるやつとかない…ですよね…。ですよね」

粗品「首?」

せいや「じゃあサングラスとタオルも3つで…」

粗品ケルベロス!!おいケルベロスの買い方しとんがな」

せいや「僕ケルベロスなんで…」

粗品「そんなやつおらんねん!」

せいや「あと生写真も買わなきゃ」

粗品「写真ね」

せいや「えーっと、908…1082…あと1102番も買っとこうかな」

粗品「バラ売り珍しいですね」

せいや「封筒に番号書いて」

粗品「封筒?ありましたっけ?」

せいや「お金いれて…担任の先生ー!」

粗品「おい修学旅行の写真販売か!学校の廊下に貼り出されてるやつ!昔あったけど」

せいや「あっはじめましてー!いつもTwitter見てます。今日はよろしくです」

粗品「あっフォロワーさんと連番ですかね」

せいや「@amaebi1142さんですよね?@mdajgpt49ですー!」

粗品「ユーザー名!!誰がアットマークの方で呼びあうねん!名前でええやろ!」

せいや「これチケットです。えっ?いや紙じゃなくて、木の札ですね。」

粗品「木の札?」

せいや「僕がへ六なんで、へ七ですね」

粗品「おい居酒屋の下駄箱か!もっとA-3とかB-7とかで表すねん普通」

せいや「で、会場に入るんですよね。ピンポンポンポン!皆様、本日はご来場誠にありがとうございます。開演に先立ちまして、ご案内いたします」

粗品「会場アナウンス」

せいや「本日、会場での呼吸、瞬き、思考の一切はご遠慮ください」

粗品「厳しすぎる!!」

せいや「ご遠慮くださーい」

粗品「生きて帰れるか」

せいや「ブーーーーーー」

粗品「ブザー鳴って、会場暗くなりましたよ」

せいや「父兄の皆様!ご起立ください!ただいまより私立恵比寿中学学芸会上演いたします!」

粗品「ライブ始まりますか」

せいや「スターダストの!」

粗品「おっエビ中出てきて」

せいや「スターダストの!スターダストの!武田幸男です!」

粗品「社員!!」

せいや「人事部の武田です!」

粗品「なんで人事部おんねん!」

せいや「わー!わー!」

粗品「観客も盛り上がって。ペンライト振って」

せいや「……エ!……ビ!……ス!」

粗品「手旗信号!!誰が手旗でやんねん!」

せいや「手旗が一番伝わる!」

粗品「知らんがな」

せいや「はいツーツーツートントントン」

粗品「こっちはモールス!!モールス信号やるかぁ!」

せいや「ツーツーツー」

粗品「しかもSOS!」

せいや「ギョウザパーン!しょうよーう!!」

粗品「ここはtvkエリア!!」

せいや「自己紹介しまーす!はい!エビ中のハイテンションガール!真山りか!112455298563番です!」

粗品「あれ?出席番号ですか?」

せいや「はい!トマト大好きリコピン少女!安本彩花!1125478596354番です!」

粗品「12ケタの」

せいや「はい!イマドキ革命ガール!星名美怜です!私はまだ申請できてません!」

粗品マイナンバー!!自己紹介でマイナンバー言わんやろ!」

せいやマイナンバーでーす。覚えてねー。覚えてねー」

粗品「個人情報ガバガバやないか」

せいや「それでは早速曲を聴いてください!サドンデス!」

粗品岡崎体育さんのね」

せいや「騒げ!叫べ!踊れ!歌え!命燃やせサドンデス~♪この曲のサビに関しては~私がペペリカ~♪」

粗品「ペペリカ?」

せいや「ちょっと!ペペリカ様の血を継げるのは18歳からでしょ!そうよ!ペレス教への冒涜よ!待って待って!ケンカしないで!ここは1つ、マーペマーペで混血を決めよう!」

粗品「近寄りがたい宗教!!おい全員危ない宗教入っとんがな!ヴィーナスちゃうんかい!」

せいや「ありがとうー!ありがとうー!えー、次で最後の曲になってしまいます!」

粗品「もうラストですか」

せいや「えー今日はね、みんな私たちのライブに…ドーン!!!!……………銀テープ…」

粗品「暴発!!」

せいや「暴発しちゃった…」

粗品「いや何やっとんねん」

せいや「それでは気を取り直して最後の曲です!永遠に中学生ー!わー!わー!」

粗品「すごい盛り上がり!」

せいや「歯磨けよー!」

粗品「こうやって一人一人言っていくんですよね」

せいや「先お風呂入りー!」

粗品「あれ」

せいや「食器ちゃんと水につけー!」

粗品「アドリブですかねぇ」

せいや「私先に寝るよー!」

粗品「母ちゃんか!!全部母ちゃんの小言やないけ」

せいや「飯はうまくつくれー!」

粗品「後半さだまさし!」

せいや「いつもきれいでいろー」

粗品「きれいでいろちゃうねん」

せいや「いやー今日のライブ最高でしたね!そうですねー!」

粗品「ライブ終わりに感想言い合うんですよね」

せいや「一番はアンコールでしたよね!いやいや、一番は1曲目ですよ!いやいや!アンコールだ!1曲目だ!なんだとー!おら!おら!いてっ!このやろ!いてっ!!おら!おらー!」

粗品「本当の感想戦!!おい戦始まっとんがな!!もうええわ」

二人「どうもありがとうございましたー」

『小林歌穂がエビ中を辞める日』

 

 

6月12日、ここはスターダストプロモーションのとある会議室。エビ中メンバーは、エビ中の動画とかの新企画『エビ中オーディション』を撮ることになっており、その打ち合わせを終えて談笑中。昼下がり。1人足りない。

 

星名「ねぇ、どんなかな?」
真山「ん?何が?」
星名「オーディションってさ」
真山「あーね」
安本「あれじゃない?即興演技とかじゃない?なんだっけほら、リモート!みたいなやつ」
柏木「エチュード?」

安本「それ!」

柏木「昨日のLINEの連絡には『メンバーを絞ります』としか書いてないね」
星名「誰か卒業させられたりして 笑」
真山「縁起でもないこと言うな」
小林「ねぇ、莉子ちゃん大丈夫かな…」
安本「あぁ」
星名「中山仮病説」
真山「いやそれはないわ」
星名「でもさっきまで元気だったじゃん。ホントは眠いだけとかなんじゃないの?」
柏木「まぁ、あんまり体調崩すイメージないもんね」
小林「んー…心配だな…」

 

校長入室


真山「あっ藤井さん」
柏木「どうでした?」
校長「んー様子は見てるけど、まだなんとも言えないかな。ちょっととりあえず30分くらい休憩で」
星名「えっヤバそうなんですか?莉子」
校長「いやわかんないね。なんとも。とりあえず俺が見とくから、まぁ各自好きに。あー小林」
小林「はい?」
校長「買い物…行ける?」
小林「えっ…買い物ですか?」
校長「良かったらさ、なんか中山がテンション上がりそうなもの買ってきてくんないかな。ほら、俺わかんないからさ、そういうの」
小林「私…ですか?」
校長「ほら、仲良いだろ?」
小林「えー…でも…私わかんないから…そういうの真山とか」
真山「莉子ちゃんのこと一番分かってるのは歌穂ちゃんだよ。莉子ちゃんのため。ね?」
小林「でも…」
校長「じゃあ隅内、ちょっと付いてあげて」
隅内「はい」
校長「あとなんか滋養強壮に良さそうな食べもんとか飲みもんとかさ、なんか適当に頼んだわ」

隅内「わかりました」
小林「うーん…」

 

校長退出

 

星名「結構…ヤバめかもね。莉子」
小林「テンション上がるもの…えっと…」
安本「なんか言ってなかったの?ほら、例えばLINEとかで」
小林「あっ!」
真山「ん?」
小林「クラッカーだ!」
安本「ん?四角いやつ?」
星名「パーン!ってなる方じゃない?」
小林「なんかね?昨日LINEでね?欲しいクラッカーがあるって言ってたの!何回も。なんかね、8本入りの…えっと…これ!これの絵柄が可愛いから貰えたらテンション上がるかもって」
真山「なにそれ?クラッカーのジャケ買い?」
安本「使わないじゃん」
小林「ね!私も変だなとは思ったんだけどさ」
柏木「で、でも!それを買ってきたら莉子ちゃんのテンションは上がるんだよね?」
小林「んーわかんないけど」
柏木「歌穂ちゃんがそう思うなら買ってきた方がいいよ!うん!」
小林「そう…かな…?」
真山「うん!絶対そう!!!」
星名「なんか調べたら、そこのハンズに売ってるって!!!」
小林「なんかめっちゃ協力的じゃない?」
隅内「じゃあ歌穂、それ買いに行こうか!」

小林「えっ?う、うん」

 

「プルルルルル」

 

安本のスマホが鳴る。

 

小林「誰から?」
一同「いってらっしゃーい!!!!」
小林「ちょ、ちょっと!なんか展開早くない!?」

 

隅内、小林、退出。勢いよく戸がしまる音。

 

 

真山「ふぅ…強引…」
星名「何の電話?」
安本「わかんないけど切った」
柏木「ちょっとヤス!誘導の仕方が下手くそなんだって!」
安本「でも気づかなかったら意味ないじゃん」
柏木「まぁいいや!早く準備しよ!準備!」

 

 

20分後。スターダストプロモーション廊下。買い物から帰って来た隅内と小林。

 

 

小林「ねぇお酒買う必要あった?アルコールって体に良いんだっけ?消毒的なこと?」
隅内「うん」
小林「でも7本はいらなくない?」
隅内「一応だよ一応」
小林「オレンジジュースに、チキンに、お菓子に…もっとなんかお薬とかで良かったんじゃない?ちゃんとさ…」
隅内「病は気からって言うでしょ?まずはこれで莉子のテンションあげないと」
小林「莉子ちゃん元気になるかなぁ」

 

 

二人が会議室に近づこうとした時、中から声が聞こえてくる。

 

 

中山「…らないよ!」

 

小林「あっ莉子ちゃん」

 

真山「いらないかなぁ、小林」
星名「小林はいらないね」 

 

小林「え?」

 

中山「いらないよ!だってバランス悪いじゃん」
安本「あー確かに」
柏木「全体のこと考えると、確かに邪魔かもね。高いし。エビ中、小林、うん。確かにいらないわ」
真山「藤井さんもそう思う?」
藤井「うん。いらない」

 

隅内「歌穂!一回!こっち行こう!」
小林「えっ!ちょっと!」

 

遠くの会議室へ小林を連れていく隅内

 

隅内「歌穂はちょっとここで待ってて?」
小林「えっ、でもなんか」
隅内「これは!私が持っていくから。待っててね。動かないで!」

 

買ったものを全て取り上げる隅内

 

 

小林 (小林はいらないって言ってた?全体のバランス?高い?っていうか莉子ちゃんいたし…えっどういうこと…?………あっ。え…?美怜ちゃん確か…誰か卒業させられるって言ってた…?エビ中オーディション…小林……エビ中に…いらない…………私、辞めさせられる…?)

 

 

会議室

 

 

柏木「うっちーお帰り!」
隅内「ねぇまだ終わってないじゃん!危なかったんだけど」
星名「待って!もうすぐだから」
真山「主役は?」
隅内「向こうでとりあえず待たせてる」
安本「えー、めっちゃ怪しまれるよそれ」

隅内「もう結構怪しんでたよ」
星名「準備終わった!!!!」
柏木「よし!じゃあ呼びに行こう」
真山「誰行く?」
藤井「一番面白いのは莉子だろ」
中山「えっ私ですか?」

 

隠れて様子を伺いにきた小林。また中の会話を聞いてしまう。

 

中山「私言いたくない!自信ないし」

柏木「でも誰かが言わなくちゃいけないんだから。どうせいつかはバレるんだし」

星名「そう!これは歌穂の、エビ中皆のためだから」

中山「そうやっておしつけたいだけでしょ!」

 

小林(……やっぱりそうなんだ!あぁどうしよう聞いちゃった………。莉子ちゃん…やっぱり言いづらいよね……)

 

中山「…わかったよ。私が言いに行くから、ちゃんと準備して待っててね!」

 

小林(…ヤバい!)

 

急いで近くに隠れる小林

 

小林(確かに考えれば変だもん…。企画の説明されなかったことないし、莉子ちゃんやっぱり元気だったし、私が代表で買い物行くわけない…。皆知ってて、それで、それで変な買い物に行かせてる間にこっそり私をクビにする会議してたんだ…。あーそうか…。何がダメだったのかな…。身長?高くて邪魔だって言ってたな…。かわいくないのかな…うーん…あぁ…だめだ…………なんか、…悔しいや…)

 

中山「あれーどこだ?歌穂ちゃーん!歌穂ちゃーん!!」

小林「……り、莉子ちゃん」

中山「あれ?泣いて…るの?」

小林「ごめんね…こんなことさせちゃって…」

中山「ちょっとこっちきて!!」
小林「わっ!」

 

会議室の前まで連れていかれる小林

 

中山「目をつぶって!いいよって言ったら開けてね!」

 

中山、勢いよく中に入る。

 

小林 (いいよって言われたら………もう皆と会えないのかな…。終わるのってなんだかあっという間だなぁ……。私、良いアイドルでいられたかなぁ…。クビになったら何しよう…。絵描きさん…保母さん………………やだな……やだ!やだ!やだ!やだ!!まだエビ中でいたい!メンバーもスタッフもみんな好きだもん!!やっぱりダメだ!わがままでもいいから言おう!!私、言う!!)

 

 

一同「いいよ~!!」

 

小林、勢いよく扉を開き、思いっきり頭を下げる

 

小林「私……!!!!まだエビ中でいたいです…!!辞めたくないです!!身長とかもう全然気にしなくなるくらい歌もダンスもうまくなるから!!!だから!!だから!!!」

 

「パパン!!パン!!!」

 

 

盛大にクラッカーが鳴る

 

 

小林「え?なに?……ハッピーバースデイ エビ中 ぽー?」

 

 

柏木「おっ、お誕生日!!!」
一同「おめでとう~!!!!!!」
小林「えっえっ!えーーーーーーー!!!」

 

 

 

10分ほどたった。お菓子、ジュース、お酒が広げられた会議室。華やかな飾りとBGMが包む。

 


一同「あははははは!!!!」
藤井「なんだよそれ!!」
小林「だ、だから!私辞めさせられるんだと思って!」
藤井「そんなわけないじゃん」
真山「美怜が余計なこと言うからだね」
星名「いや冗談だから、冗談。ポテチとって」
小林「でもなんか、小林いらないって…」
柏木「ん?あーそれは、あれだよ」
小林「ホワイトボード??」
柏木「いや、字がね?最初『エビ中小林ぽー』って書いてたんだけど、全体のバランス悪いから『エビ中ぽー』にしてバランスを直したの」
小林「そういうことか」
安本「でもどう?私のシナリオ!題して、小林歌穂誕生日ドッキリ大作戦!!!」
柏木「意味わかんないから」
安本「なんでよ!」
柏木「だって!あなたがケーキの予約時間間違えるから莉子が体調不良ってことにしたし!っていうか歌穂にクラッカー買わせる必要あった?バレちゃうじゃん!」
藤井「普通にこっちで準備すれば良いもんな」

安本「そっちの方がヒリヒリするじゃん?」

中山「ねぇ私に変なLINE送らせた!」

安本「文句あるなら皆で考えれば良かったでしょ!!」
真山「それはめんどいのよ」

星名「っていうかさ、途中で電話かけてきたのって莉子?」

中山「えっ?うん」

安本「そう!あれまじびびったかんね?」

中山「ケーキ屋さんの場所わかんなかったんだもん」

藤井「皆しっかりやれよ 笑」

柏木「まぁ何はともあれ!皆さんお酒を持ちまして」

星名「莉子はジュースね」 

中山「カルピス!!!」

柏木「いきますよ!かんぱーーーい!!」

一同「かんぱーーい!!!!」

 

めいめいにお酒、ジュースを飲む。お酒が苦いと暴れる小林、笑う一同。幸せな時間が空間に溢れる。

 

小林「あっそうだ、じゃあ『エビ中オーディション』の話も嘘なんですか?」

藤井「ん?あぁそれはホント。やるよこれ終わったら」

星名「えー何やるんですか?」

安本「リモート!」

柏木「エチュードね」

藤井「…フルマラソン

一同「え?」

藤井「フルマラソン走るから。メンバーを、絞ります。」

一同「ふ、ふっざけんなーー!!!!!!」

 

 

日記。就活の話。

 

また面接に落ちて振り出しに戻った。

 

就活の軸、みたいなものを改めて考えている。何とは明言しないけれど、僕には「やりたいこと」が明確にいくつかあって、今年の就活はとにかく「そのやりたいことができる会社に入ること」に一心不乱になっている。

 

会社に入るのは「確実に成長できる」「安定できる」「豊富な収入が得られる」といった理由からだ。自分で行動することによる甘えや怠惰を許さない歯車の一つにならなければきっと僕はどこまでも下がれてしまう人なのだろうと自分で分かっているし、会社に入ればそれなりの安定や収入がきちんと保証されている(丸腰でやりたいことへの荒野を走りまわるよりは、の話)。大きな組織や資本は一人では出会えない人々や体験にも連れていってくれるとも思う。もちろん学生生活とは比べものにならない辛いことや理不尽や責任も多いだろうけど、その向かう先は「やりたいこと」だから、原動力の火は絶えないはずだとも考えている。たかが22年の人生から出した甘い考えだけれども。

 

 

なので、まずは「やりたいことができること」が絶対的にあり、そのより良い道として「会社への所属」がある。その可能性があるうちは、周りを見ずにまずはこの道に全力疾走したい。これはもう「わがまま」みたいなものだ。

 

 

でも、この「わがまま」が肥大していくと、だんだんこの道しかあり得ないという風な脳になってしまう。落ちたらダメ人間、才能がない、もう終わり、みたいに。今そうなってきてめちゃめちゃ苦しくなっている。なので、少しだけ先のことを考えたい。

 

1「やりたいこと」

2「安定」

3「向いていること」

 

一番叶えたいのは1、次に2、そして3だって選択肢にないわけではない。就活で得ようとしているのは1と2の欲張りセットだ。そう考えれば、少しだけ心が楽になる。一番やりたいことが1と決まっているなら、今年の就活がダメでも、来年の就活がダメでも、どんな道だって良いから1に向かえばいい。1の世界に飛び込んでダメなら、3に向かってもいい。なにせ40年もあるのに、1回も間違えられないなんてそんな酷な話があるかよ。22年で自分のことなんてろくにわからない。

 

ワンピースのルフィ役の田中真弓さんは1の「舞台女優」より3の「声優」を選んだ、とラジオで話していた。人から求められることだって、めちゃめちゃに素晴らしいことである。

 

僕はどうなりたいか。その根本は「自分の人生を楽しいと思いたい」である。っていうかきっと皆そうだ。そのために「やりたいこと」と「安定」に向かっているわけで、就活だけが人生だなんて言うなら僕は于武陵もとい井伏鱒二を殴る。就活を続けるうちにそこがひっくり返って、楽しくない会社で40年なんて絶対に嫌だ。

 

だから、たぶん大事なのは「やりたいこと」があるということだと思う。僕はこれが明確なおかげでなんだか自分を保てている気がする。それに、周りの先輩に「やりたいこと」に好きに向かっている人がいたり、親がそれを許してくれたり、そういう環境もすごくありがたい。もちろん、信念は変えられないものじゃないから「安定」が1にきたら、会社に一心不乱になればいい。自分のことは自分で決めれば良い。なんて書いて、落ちたショックから逃げたいだけなのかもしれないですね。

 

さて、休憩終わり。今はまだ欲張りセットを手に出来る可能性があるので、また走りましょ。